「Echo Show (エコー・ショー)」でアマゾンは何を目指すのか
4月末にアマゾンエコーの新製品である「Echo Look(エコールック)」が発表されたばかりですが、早くも5月9日にさらなる新製品となる「Echo Show(エコー・ショー)」が発表されました。エコー・ショーはエコーシリーズ初となる「ディスプレイ」を備えている点が特徴です。果たしてアマゾンはこのエコー・ショーで何を目指すのでしょうか。
Echo Showとは
まずはEcho Show(エコー・ショー)のスペックをおさらいしておきましょう。まず従来の機種と違う点は、新しく7インチのディスプレイと5MPのフロントカメラが搭載されたことです。これにともなって、エコー・ショーでは「ビデオチャット」をしたり、YouTubeやAmazonビデオなどの「動画の再生」が可能になりました。もちろん従来のエコーシリーズ同様に音声コントロールで操作することが可能です。さらに「ライト」、「温度計」、「カメラ」などの家庭用IoTデバイスのハブとしても機能するようです。電源はACアダプタ接続でバッテリーは搭載しておらず、重量は1.17kg。価格は1台$230となっています(参考: エンガジェット)。
なぜディスプレイを搭載したのか
アマゾンはなぜ、エコーにディスプレイを搭載したのでしょうか。「エコー・ショー」のビデオチャットや動画再生といった機能は、すでにiPadを持っている人なら必要のない機能に思えます。その理由はやはり、「あらゆるデバイスのインターフェイスは、全て音声コントロールになる」とアマゾンは考えているからではないでしょうか。iPadはタッチインターフェイスをベースに作られているので、音声コントロール(Siri)だけで全ての処理を行うことは不可能です。しかしエコー・ショーはエコーの流れをくむ音声コントロールありきで作られているため、手を使うことなく全ての処理を行えるのです。エコーにディスプレイを搭載したのは、音声コントロール端末の可能性を更に広げるためではないでしょうか。
新たなスキルの可能性
アマゾンのエコーには、スマホのアプリのような「カスタムスキル」が存在します。今回エコーにディスプレイが搭載されたことで、このカスタムスキルでできることも更に広がるかもしれません。例えば防犯カメラなどの視覚情報が必要なIoT端末もエコー・ショーで表示できますし、アレクサでピザやコーヒーの注文をするときは、画面に写真付きのメニューが表示できるようになるかもしれません。また、アレクサで最新のニュース映像を見られるようになるかもしれません。このようにエコー・ショーにはこれまでできなかった新たなスキルの可能性が眠っているのです。
タッチ操作から音声操作の時代になるのか
スマホやタブレットから採用された「タッチディスプレイ」は、マウスとキーボード以来の画期的なインターフェイスでした。しかしながら、スマホのアプリが増えてくると「あのアプリはどこだっけな」と迷いが生じたり、地図を調べるときも「アプリを起動」して、「目的地を入力」して、「候補の中から選択」といったように、目的の動作にたどり着くまでにいくつかのステップを踏まなければならないのもまた事実です。一方で音声コントロールであれば、「アレクサ、〜への道順を調べてくれ」の一発で済むようになります。このようにタッチ操作から音声操作へシフトすることで、より直感的にコントロールできるようになるのです。
最後に
アマゾンはおそらく、「エコー・ルック」を一家に一台設置することを目指してくると思われます。プロモーション用のビデオでも登場したように、エコー・ルックは祖父祖母の実家と自宅を繋ぐことを利用シーンとして想定しています。小さな子どもたちはスマホを持っていませんし、祖父祖母もおそらくそうだからです。エコーは音声で全て操作できるので特別な使い方をマスターする必要がありません。小さな子どもでも「アレクサ、おじいちゃんに電話」と言うだけ使えるのです。かつてスティーブ・ジョブズはコンピュータは誰でも扱えるものであるべきだと考えていましたが、実はアマゾンのエコーこそ、コンピュータの理想の形なのかもしれませんね。