アップルがQiに加盟。ワイヤレス充電は何を変えるのか

最近は何かと「ワイヤレス」という言葉が流行りのようです。2016年にはワイヤレスイヤホンの「AirPods」が登場し、iPhone本体からイヤホンジャックが削除されました。これはBluetoothの技術が進歩したことで、より多くのデータを無線で通信できるようになったことが関係しています。そして次に注目されているのが、充電器のワイヤレス化です。

2月13日に、「Qi」という充電規格を勧める機関に、スマホ界の雄であるアップルが加盟しました(参考: CNET Japan)。これによって、次世代iPhoneにワイヤレス充電が搭載されることは確定になりましたし、アップルが参入したことで業界全体に一気にQiのワイヤレス充電が普及する可能性がでてきたのです。そこで今回はワイヤレス充電によって何が変わるのか見ていきましょう。

Qiとは?


Qi(チー)とは、WPCという機関が制定したワイヤレス充電の国際標準規格のことです。Qiは2008年に制定され、バージョンアップを繰り返しながら充電精度を高めてきました。現在のところ、Qiは15W以下のスマートフォンなどの小型電子機器を対象にしています。Qiには電磁誘導方式が使われていて、将来的には120Wなどより大きい電力も扱えることを目指していくようです。そのため、いずれはEV(電気自動車)などの大型バッテリーを搭載したマシンの充電にも使われるようになるかもしれませんね。

ケーブル関連の問題がクリアに


現状スマートフォンを充電するためには、LightningやMicro-USB、USB-Cなどのケーブルなどをスマホに差し込む必要があります。このケーブルは何かとやっかいで、機種ごとの互換性に乏しかったり、安物を使うと発火したり、すぐに断線したりと、ユーザーやメーカーにとって悩みの種でもありました。そんな問題も、ケーブル自体をなくしてしまうことで解決するのではと期待されています。もちろんQiの充電器と電源を繋ぐための線は依然として必要ですが、少なくとも頻繁に線を抜き差しすることは減るので、断線のリスクを抑えることが可能ではないでしょうか。

ワイヤレス化で互換性の確保が可能に?


ワイヤレス充電のメリットの一つは、何と言っても機種ごとの充電方法を一つに統一できることです。iPhoneもGalaxyもMateも、みんな1種類の充電器で充電が可能になるかもしれないのです。これまではLightningやMicro-USB、USB-Cなどが混在していましたが、ケーブルそのものをなくすことで規格の統一が簡単になりそうですね。これからはカフェなどにQi規格の充電器を1台置いておけば、どのユーザーも自分のスマホを充電できるようになるというわけです。これは何気に画期的かもしれませんね。

充電のわずらわしさから解放されていく?


スマートフォンは私たちの生活に欠かせないものになっていますが、それと同時に毎日欠かさず充電することを強いられています。もしあらゆる場所にQiが設置されるようになれば、特に意識せずに、知らない間に充電されている状態が実現するのではないでしょうか。例えばカフェやレストランのテーブルや、オフィスのデスクなど、Qiの技術はあらゆる方向へ応用できそうです。もしかしたら、テーブル全体がQiの充電器になっている画期的なものも登場するかもしれませんね。ワイヤレス充電の普及によって、私たちは少しずつ充電のわずらわしさから解放されていくのかもしれません。

最後に

もちろんワイヤレス充電にはデメリットもあると思います。有線に比べて充電スピードが遅かったり、充電したつもりがきちんとされていなかった、なんてこともあるかもしれません。また、Qiの仕様ではスマホを平らに置かないといけないので、従来のように充電しながら手に持って使うことが難しくなります。しかしこれらの問題は、時間とともに解決していくのではないでしょうか。スマホに「線を刺す」という行為がなくなるだけで、スマホの使い勝手は格段に良くなるはずです。究極的には、充電器に接触させなくても充電が可能になる、真のワイヤレス充電が実現する可能性もあります。それが実現するのはまだ先になりそうですが、ますは接触型のワイヤレス充電の普及に期待しましょう。